2011年2月16日水曜日

シリコンバレーからの蒼い波

ダイニングに2台の Windows パソコンがあります。1台は、TV チューナーが入っているモデルで、もう1台はノートPCです。
私はちゃんと携帯電話として、 iPhone4 を使っているので、家にいても iPhone が手放せないのですけれど、そうすると、この2台の前にいても、iPhone を使ってしまいます。


何故って、それはわかりますよね?
画面の上を右から左になぞって、4つの数字を入れれば直ぐに使えるからです。iPhone4 を手に入れてから、そう、特にApp Storeで各種のアプリを入れてから、Windows PCを開くには、プログラミングとか、よっぽど気合いを入れないと手が伸びなくなりました。


マイクロソフトで Evangelist をしていた私ですら、こんな状況ですから、iPhoneのみならず、Androidを含めてスマートフォンをお持ちの一般ユーザーは、もうパソコンに手を伸ばさなくなってしまっているのでは無いかと思います。


スマートフォンを手に入れると、アプリの利用やネット閲覧で使用時間が増加するのは、言わずもがなですが、特に2月からですが、私のブログサイトでは iPhone の利用者が急増しています。2011年1月は、まだ 70% 近くがWindows PCだったのですから、想定していたとはいえ、この激減ぶりには流石に驚きました。
Windows 44%、iPhone 32%、Mac 20%、iPad 1%です。
iPhone と Mac を足せば、Apple コンピューター 52% となり、クライアント端末としては既にアップルが首位となってしまいました。


それ以上に驚かされるのが、次の統計結果です。
米国マイクロソフトでは以前から大変、気にしてていたとは言え、日本では伝えられたことがありませんでしたが、IEはもはや主流では無いのですね。
Safari 41%、IE 24%、FireFox 21%、Chrom 9%、Mobile 2%です。
Windows ユーザーの半数が Internet Explorer を使用していないのですね。かつて、あれだけ必死になってネットスケープに対抗したマイクロソフト、いまやブラウザでは FireFox に追い抜かれそうなくらいまでに弱体化していました。

そうそう、ネットスケープに対抗し、いろいろと取り組んだことについては、ディスカバリーチャンネルで特集を組んだ番組がありました。
ディスカバリーチャンネルにリクエストすると、再放送してくれると思いますので、ネスケとMSの戦いに興味のある方、ITに活力を戻したいエンジニアの方々は、是非、リクエストしてみて下さい。マイクロソフトが本当はどんな会社かがこの番組を見るとよく分かりますよ。
当時、私もネットスケープに大いなる期待を抱いた一人でしたので、徐々に排除されていくネットスケープを非常に不思議に思っていました。この番組を見て、真実を知りました。


さて、NTTドコモさんの発表によると、来期は600万台の Android を売り出すそうで、そうすると軽く 1000万台のAndroid 端末が日本にあふれる計算になるそうです。
http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/column/narumono44/01.html


ここで、上のシェアグラフをもう一度見てみましょう。
個人的な感覚ですが、iPhone から Android へ移動する人は限られると思えるので、インターネットアクセスでのデバイス市場を食われるのは、間違いなく Windows となるでしょう。その中でもブラウザは、かなり悲惨な状況になるように思います。
現段階でも、IE スタンダードのサイトは多いと思うのですが、上記のように24%のユーザーしかIEを利用していません。1000万台のAndroid 端末があふれだしたら、Chrome のシェアが大幅にIEのシェアを奪うと思われます。


どうやら、10年単位でやってくると言われる IT業界の波は、メインフレームからUnixへ、UnixからPCへ、PCからスマートフォンへと移ったようです。そう、iPhone, iPad, Android への移行は、さらに加速する力を増しています。


そして面白いのは、通常、多少の波の滞留が起こるものなのですが、スマートフォンへ波が移動するのと同時に、残りの波は、もとに戻り始めました。個々のPCサーバーに分散していたシステムが、仮想化技術によって、メインフレームのような巨大サーバー、あるいはメインフレームの規模を超えるデータセンターに集約されはじめました。そして、とてつも無いサイズの巨大サーバー群、クラウドコンピューターへ押し寄せているのです。




これは、マイクロソフトのライセンスビジネスにとっては大きな痛手でしょう。
ある会社の事例では、330台のサーバーを70台に集約し、Windows Serverのソフトウェアライセンスコストが65%も減少してしまいました。
どうやら、IT業界が意図的に創出したものでない、本当の大きな波が押し寄せてきています。そして、その波は行き着くところに辿り着き、スマートフォン市場を作り出し、残りは大きなウネリを起こして、メインフレーム形態(クラウド)へと戻り始めています。
そして、戻り始めた波間には、大きく拡大していく黒い売上げの穴が空きはじめています。